〈のぞみ福祉作業所〉のアーティストがつくる〈NOZOMI PAPER〉がかわいい!/宮城

〈のぞみ福祉作業所〉のアーティストがつくる〈NOZOMI PAPER〉がかわいい!/宮城

■南三陸の名物を描いたポストカード
こちらのポストカードに描かれているかわいいイラストは、宮城県・南三陸の名物「モアイ」。このほか「タコ」と「ワカメ」を描いたものもあり、どれもほっこりさせてくれます。

【写真で見る】〈moai〉、「タコ」を描いた〈tacco〉、「ワカメ」を描いた〈WAKAMEKKO〉。どれも南三陸の名物

このかわいいイラストを描いたのは、南三陸にある生活介護事業所〈のぞみ福祉作業所〉を利用する障害のある“アーティスト”たち。

ふかふかで厚みがある、オリジナルの〈NOZOMI PAPER〉に、活版印刷されています。

どうやってつくられているのか、そのストーリーを聞いてみたくなる手触りを持った〈NOZOMI PAPER〉は、手作業で漉き上げられたもの。

障害のある〈のぞみ福祉作業所〉の利用者が、原料を解体する作業から、手漉きして印刷し、梱包するまで、すべての工程に携わっています。

■作業所はまるで美術館!
〈のぞみ福祉作業所〉は、2015年に〈NOZOMI PAPER Factory〉として活動を開始。〈NOZOMI PAPER Project〉を立ち上げ、〈NOZOMI PAPER〉の生産と商品の制作を行っています。

作業所には、“アーティスト”としての利用者の作品がところ狭しと飾られ、さながら美術館。緻密でかわいくて、発想豊かな作品が並びます。

作品のタイトルは、南三陸さんさん商店街にあるカフェ〈NEWS STAND SATAKE〉で定期的に開催されている個展に向けてつけられたもの。発表の場があることで、作品は日々進化しています。

本来は「生活介護事業所」であり、就労のためではなく生活をケアしてもらうために〈のぞみ福祉作業所〉を利用していた彼ら。“アーティスト”としての活動を始めたのは、あるデザイナーとの出会いがきっかけでした。

■福祉はおもしろくて、健やか
〈NOZOMI PAPER Project〉を企画したのは、「福祉とあそぶ」をテーマに活動する、デザイナーの前川雄一さん・亜希子さん夫婦によるユニット〈HUMORABO(ユーモラボ)〉。

障害のある人が描いたアートを、広告や商品のデザインに使用することを仲介し、仕事につながるよう支援する団体〈エイブルアート・カンパニー〉との仕事を機に、福祉施設の商品開発やブランディングに携わっています。

自身でも絵を描いていた亜希子さんは、障害のある人たちと出会い、「もう私描かなくていい」と思ったといいます。「障害のある人たちの作品は、とんでもない表現が出てくるのでワクワクするし、(自分で描いた絵より)自分が好きだと思った作品をおもしろいかたちに落とし込んで商品化する方が楽しいと感じて」

さらに福祉と関わるようになってふたりが目にしたのは、健やかな働き方。「たとえば9時30分から作業を始めたら、お昼の前にお茶を飲んで休憩する時間がある。また作業して、お昼を食べたら、みんなで歯磨きをして、午後も作業して、お茶して、片づけて、15時30分には帰宅する……ちゃんと休んでちゃんと働いて、健やかですよね(笑)お給料はもちろん違うけど、福祉を知ることで、自分たちがどういう風に働くか、どうしたら楽しくなるか、教えてもらえることも多いんです」

■出会いのきっかけは東日本大震災
雄一さんと亜希子さんが〈のぞみ福祉作業所〉のメンバーと出会ったきっかけは、2011年3月11日に発生した東日本大震災。

ふたりは〈エイブルアート・カンパニー〉が企画した、被災地の障害のある人の“しごと”の復興を支援する〈タイヨウ・プロジェクト〉にそれぞれ個人のデザイナーとして参加。雄一さんが依頼されたのが、〈のぞみ福祉作業所〉の利用者が漉き上げるポストカードのデザインでした。

雄一さんが関わる以前は、職員がクリアファイルを切って型をつくり、利用者はステンシルで色をつける作業を担当。ステンシルをひとつ間違えると、紙は廃棄されていました。

「みんなが一生懸命漉いてできた紙なのにもったいないし、ここに僕のグラフィックを載せても仕方がない。紙の原料もストーリーのあるものに統一したいと思ったんです」

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